はい、ひでです
東京には古い建物が多く残されています。戦災も震災も免れて生き残っているレトロな建造物を見ると、ロマンを感じずにはいられません。
このバー「TARU」も、銀座で60年営業を続けていました。ビルから漂ってくる重厚な雰囲気が歴史を感じさせます。 2013年、惜しくも再開発によってビルは解体され、一時閉店しましたが、現在は斜め向かいのビルで営業しているそうです。
僕が行ったこの日、ちょうど最後の営業日だったようで、店内にはこの店に最後の別れを惜しむ客がたくさん来ていました。
このビルの竣工は1931年だそう。入り口や窓のデザインに、昭和初期の建築美を感じます。上の方の階だけ窓の形がアーチ型になっていておもしろい。あそこに探偵事務所なんかが入っていてほしいですね。
店内もとても重厚な空気。ずらりと並んだ酒瓶、一枚板のどっしりとしたカウンターテーブル。酒もタバコもおいしく感じる空間がありました。このカウンターテーブルは新しい方の店でも使われているようです。
出入り口の扉。この扉にも数々の歴史が刻まれているのを感じます。この写真は気に入っていたので、携帯の待ち受けにしていたことがあります。
新しくなった「TARU」にはまだ足を運んでいませんが、そちらも素敵なバーであることは間違いないでしょう。
ところ変わってこちらは日比谷公会堂。
こちらの建物も、堂々とした雰囲気を漂わせています。まさに帝都東京という言葉が合います。
その一階で、かつて営業していた「アーカイブカフェ」。日比谷公会堂という建物の持つ魅力をそのまま感じることができるカフェでした。
柱や天井、床の感じがレトロでとても良いです。奥に写っているのが店主。気さくなお兄さんで、初めて行った時から気軽に話しかけてくれました。それ以来、この雰囲気を味わうためと、このお兄さんと話すために何回か足を運びました。
ここには蓄音機が置いてあり、SPレコードを聴くことができました。僕が社交ダンスを教えているという事を言うと、ダンスの練習用に作られたという昔のレコードを聴かせてくれたりもしました。
このカフェでレコードをかけて社交ダンスを踊るイベントができたら楽しかったかな〜なんて思ったのですが、実現せずに終わってしまいました…はかない。
お兄さんはクラシックが好きだったようで、パブロ・カザルスというチェロ奏者を僕に教えてくれました。「このジジイの弾いてる『鳥の歌』っていう曲がいいんですよ〜」って言っていたのを思い出して、それが入ったレコードを僕も買いました。クラシックはあまり聴かない僕ですが、このレコードはちょいちょいかけています。そしてカザルスの生まれ故郷というスペインのカタルーニャ地方と、お兄さんにに思いを馳せます。
お兄さんの連絡先も聞いておらず、この店が閉店したのを知ったのもだいぶ後のことだったので、最後に会いに行くこともできませんでした。できることならもう一度会って話したいとも思いますが、これでよかったような気もします。このカフェと、お兄さんと過ごした時間は僕の中で生き続けています。